読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Resonance

快復への道のり

境涯

夢は正直だ。

そして思いもよらない記憶を掘り出してくる。普段は完全に忘れていることを。

 

卒論を書くために分属を選んだ研究室に彼女はいた。

学部を一年余計に過ごしていた僕にとっては、かつての同期であり、研究室の先輩にあたる彼女が。

修士課程に進んで、僕らはかなり奇妙な形であるとはいえ、付き合うようになった。

 

そしてそこでようやく知ったことは、かつて学部にいた同期が既に亡くなっていたことと、その亡くなった同期と彼女は付き合っていたということだった。

何にも知らなかった。

もちろん、というべきか、バイク事故で亡くなっただなんていうことは、学部の誰にとってもショッキングで、彼の葬儀には何人も訪れていた。

何も知らなかった。

 

そして彼女は、それを境にか、煙草を吸うようになった。

それもまた、知らなかったことのひとつ。

広告を非表示にする