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Resonance

快復への道のり

井戸の話

比喩抜きで。

 

実家の敷地内には井戸がある。

電気ポンプ式なので、停電してしまうと汲めない程度のものだが、家業の農業にとっては重要な設備。

蛇口を捻ると、白濁した水が出てくる。おそらく飲用にはたえないだろう。

 

長らく不思議に思っていたのだが、家から50m以上離れたうちの畑のど真ん中に、散水用の蛇口だけが生えている。

この蛇口が、実はうちの井戸からひたすら引っ張られた末端なんだそうだ。

老朽化した上水道管だかガス管だかの更新工事で、実家の裏の舗装道路が掘り起こされた時、施工業者は地下台帳に載っていない謎の配管に出くわして、お宅から延びているらしいこの配管はなんだろうか、と問い合わせがうちに来たそうだ。

 

「それはうちの爺さんが道路舗装される前に配管したやつなので、そのまま埋め戻しておいてくれ」というのが、婆ちゃんからの回答だったらしい。

 

公道の下に堂々と私設しているのもアレだが、よくもまあ、半世紀以上に渡って漏水せずに生き延びているものだ。

うちの他の畑にも配管されているらしいのだが、どこをどう通っているのかは、記憶が定かではないらしい。大丈夫なのか。

 

そんなことを、かつて分家する前の本家が建っていたという跡地の畑の真ん中に遺された井戸を眺めて思い出した。

 

さて、この家、いずれどうなるんだろなぁ。

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